これは今は亡き、私の絵の恩師が常々おっしゃっていた言葉…
S先生は、地元地域の絵画等、文化活動の発展、
また、後進の育成のために随分、貢献された方で
もし、中央でご自分のためだけに働かれていたら
きっと、もっと、名を残されていただろうと思います
後押しがすき…
若い頃の私にはわかりませんでした
先生は、今、私が所属している
ある全国組織の絵画団体の中でもリーダーで、
カリスマ的存在でした
今思えば、あんなに先生が魅力的だったのは
自分が教えてやるという方ではなく
ご自身の絵に表れている様に
絵を描くって自由
絵を描くのは楽しいと
周りの人に伝えていたからだと思います
人の気持ち
人の能力
人の才能を引き出すのが、とてもお上手でした
周りのみんなは分かっていました
『愛』で動いていらっしゃるって
そんな、先生はすごいって
これが、真のリーダーシップだって…
先生の周りは、人がいっぱい集まって来て
先生はそれが何より嬉しそうでした
引っ張っていくより、後押しがすき…

絵の上手な人だからといって、絵を教えられるとは限りませんね。
初心者は、上手い人の前では緊張してしまって、自分を表現できません。
そこに、自分の実力を見せ付けるかのような、指導者では
益々、萎縮してしまって、絵を描く楽しさでさえ失せてしまいます。
S先生の前では、魔法にかかったかのように、みんな生き生き輝きだします。
上手くいかなくて、悩んでる人の風景画を
「ちょっと、それ、逆さまにしてみて…」
「こっちの方が、いいのではないかな?」
「そのまま、進めてごらんなさい。大丈夫…」
半信半疑のその絵に、最後のアドバイスをされて、
見事、その人の絵は賞に輝かれました。
厳しいところもありましたよ。
得意げに描いて持って行った作品にかぎって、
「それは、擱(お)いておきましょうか…」
この言葉が出たときは、駄目だと言うときです。
上手く仕上がっていると自分で思っていた時ほど、そうでした。
後になって、自分自身分かってきたことは、
その言葉が出たときの作品は、小手先で仕上げてたり、衒(てら)っていたり…でしたね。
後押しされるのは
主人公はあなたですよ!と励まされているようです。
大切なことを教えていただきました。
私もかつて写真を指導していただいた先生がそういう方でした。人の作品を決してけなさず、その作品のいいところを見つけてそこを指摘して励ましてくださるという典型的な指導者でした。私自身がよくないと思っている写真でも、その中のいいところを見つけ出して、ここが素晴らしい…、この素晴らしいところはこうすればもっとよくなる…とかと云われると、そのつもりになって写真を続ける意欲が出てきたことを思い出します。後押しとはそういうことではないでしょうか。そういう指導だったから私のように鈍感な人間でも写真を続けてこれたのだと思っています。
その先生も今は亡き人になっていますが、今でも多くの弟子たちが当時の先生の指導方法を話題にして先生を偲ぶことがよくあります。